効かせるパンチとは① ~打点とパンチの種類~

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良く試合で衝撃的なKOを取ったボクサーが勝利者インタビューで「そんなに強く打ったパンチでは無かった」と話す場面を見た事がある方が多いと思います。試合中に多くの強いパンチを多く打っている中でなぜ軽く打ったパンチでKOをとれるのかを考察していきます。

パンチの打点

ボクシングで急所と言われる場所は頭部だと顎、顎先、こめかみ、ボディでは鳩尾、肝臓、腎臓があります。(目、鼻、耳の裏、喉、心臓などもありますが割愛)

顎先のみがピンポイントで当たる速いパンチが効く

顎先は頭部を支えている頸椎(首を支える骨)から一番遠い場所です。支えている場所から遠くなるため「てこの原理」で考えるとより小さな力で物を動かす事が出来ます。

例えばドアを開ける時もドアノブ付近であれば小さな力でドアを開ける事が出来ますが、公衆トイレなど、多くの人が触るから蝶番固定に近い場所でドアを開けようとすると、より大きな力が必要になる事は想像し易いのでは無いでしょうか?

物理的なパンチの効果

ボクサーの中にはあの人のパンチは硬い、キレがあるなどと話す人が多い気がします。この言葉に対してイメージは出来るが理解しにくい表現と感じています。

正確かは分かりませんが、現時点での私の考察をまとめていきたいと思います。

キレのあるパンチ・・・パンチを出す瞬間のモーションをキャッチしパンチが到達するタイミングを反射的に予測するがパンチの出だしから到達迄の加速がよりも速く躱(かわ)しにくい。パンチの引きも速いため、重みではなく衝撃が残る鞭のような上手く脱力されたパンチ。

硬いパンチ・・・打点の面に向けて垂直方向にナックル(特に人差し指・中指の第三関節)が当てられ力のベクトルと手首が並行になっているため衝撃が各関節から逃げる事のないパンチ。

重いパンチ・・・体重移動や体幹、肩甲骨の回転力が拳に伝わり、体重の乗ったパンチ。鞭のようなパンチとは異なり打点から押し込む継続時間が長い。テンプルのように比較的重い場所(てこの原理)やボディのような弾力性(衝撃吸収作用)がある部位に有効。

パンチを打つための前進や回転するバランス、パンチが相手に当たっても前進や回転が弱まらないバランス。更に一つ一つの関節から衝撃を分散させない能力が必要。

世界のトップ選手達との試合で、これら全ての要素を満たし完璧にこなしてしまう井上尚弥選手はやはりとんでもない…

井上選手の擦るようなボディフックで人がバタバタと倒れるのはボディに当たった後も腹筋に押し負けずパワーを伝え続けているからである分かる。

コンディションの整え方やメンタルコントロール、画期的な練習方法、試合中に思考する事などを栄養学、解剖整理学、認知科学、脳神経科学、古典物理学など様々な視点から記事を書いていく予定です。

まだまだ研究や学びが足りず1方面での記事になってしまう可能性もありますがご愛読下さい。

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